病院の看護師やスタッフが着用する白衣は、年々カラフルでおしゃれなデザインなものが増えつつあります。白ばかりだった白衣もカラーバリエーションが増え、病院のイメージカラーなどに合わせて選択したり科やチームごとに統一したりすることもできます。
そのような流れの中で、根強く白い白衣を着用しているのが医師です。医師が白い白衣を着続ける理由や、男性に人気のジャケットタイプの白衣を紹介します。
なぜ白衣は白い?
白衣は、なぜ白いのでしょうか?医師や看護師、病院で働くスタッフ、医療に従事している方の多くは白衣を着用しています。その他にも実験を行う科学者やエステティシャン、リハビリスタッフ、鍼灸師も白衣を着用することがあります。
白以外の色も増えてきましたが、基本的に白衣の色は、その名前の通り白色です。白衣が白なのはきちんとした理由があり、見る人に清潔感を与え、汚れてもすぐにわかるからです。歴史を遡ると19世紀の西洋の医師は手術の時に白ではなく黒い衣を着用していた時代がありました。
医療の場は神聖なものと捉えられていたため、儀式の時などに着用する礼服の色である黒を着用していたと伝えられています。その後、病気の予防には衛生管理が重要だという考えが広く定着していくにつれて、医師の着る服の色が黒から白へと移り変わっていきました。
白は汚れが目立ちやすいため汚れたことに気がつきやすく、医療の現場では衛生的に見ても最適な色だったのです。汚れたら、すぐに着替えたりクリーニングしたりする、という行動を促すために白衣は白色を採用しています。
白衣の抱える問題とは?
長く医療従事者の着用する色として白い白衣が好まれてきましたが、ある問題が起こり白衣の色が見直されることになりました。それが補色残像問題です。外科医が手術中に目に緑色の残像が現れ、それが消えないことで手術に支障をきたしてしまいました。
これは人間の目に起こる補色残像という現象が引き起こしたトラブルです。人間の目は、ある特定の色を長時間見続けていると、その特定の色とは反対の色が目に残像として現れてしまいます。外科医が手術中に患者の血液の赤い色を見続けたため、赤の反対の色である緑色が目に残像となって視界に現れてしまいました。
この補色残像問題を解決するために、手術着の白は廃止され緑色の手術着を着用するようになりました。手術室の壁や床にも緑色や青色が使用されたことで、補色残像を防ぐことが可能になりました。手術着に白ではなく緑が採用されたことや、白色以外でも衛生管理が可能なことから次第に様々な色が白衣に使用され始めました。
白衣の種類と特徴
白衣には様々な種類があり、医師が着用している羽織るタイプの白衣はドクターコートと言います。ただ医療現場で働くスタッフには動きづらいというデメリットがあるため、スクラブやケーシーといった白衣を着用するようになりました。
スクラブは半袖のVネックデザインで、基本的にボタンなどがなく頭からかぶるようにして着用します。ケーシーは肩にボタンがあり、体を動かしやすいのが特徴です。女性の看護師もワンピースタイプの白衣から、上下セパレートでパンツスタイルのウエアを着用する方が増えています。
スクラブなどのトップスにパンツを合わせることによってスカートよりも動きやすく機動性に優れ、屈むなどの動作がしやすくなるというメリットがあります。患者を抱える機会が多い場合にはボタンなどが引っかかると思わぬトラブルを起こすこともあります。
そのためボタンやファスナーのないスクラブやケーシー白衣として人気を集めるようになりました。白衣は医療業務をよりスムーズで快適にするためにデザインだけでなく、様々な機能が求められるようになりました。夏場には通気性が高く、抗菌機能、防臭機能を備えた白衣が特に選ばれます。
また冬場には静電気をおさえる機能のあるものが人気です。
医師が白い白衣を着続ける理由とは?
様々な色やデザインの白衣が導入されている医療業界ですが、そのような流れの中で白い白衣(ドクターコート)を着続けている医師は多いです。なぜドクターコートを着続けているのでしょうか?理由は二つあります。一つは、イメージが定着しているからです。
医師のドクターコートはトレードマークのようなもので、着用することで誰からも医師であるという認識を得ることができます。患者から医師として認識されるということは、信頼を得ることにつながりますので、診察などをスムーズに行うためにもドクターコートを着用する医師は多いです。
このパターンと逆なのが、小児科の医師です。ドクターコートを着用していると怖がる子供もいるため、あえてドクターコートを着用しない医師もいます。それほどドクターコートには「医師である」という強いイメージが定着しているのです。
二つ目は威厳を保つためです。権威のある医師や院長などは、威厳のある立場のためパブリックイメージを守るためにもドクターコートを着用することがほとんどです。責任ある立場の方は、それにふさわしい格好をしなくてはならないためドクターコートを着用します。
ドクターコートのバリエーションにジャケットタイプが登場!
医師の中には、ドクターコートの着用が求められる場合があります。医師としてのイメージを守るためであったり、信頼感を得るために着用することが多いです。ドクターコートは前開きでボタンがあり、コート丈のデザインが一般的です。
このオーソドックスなデザインは、丈が長く動きにくいというデメリットがあります。機能的に優れているとは言えません。そのため多様なデザインのドクターコートが登場し、より機能的になりました。ボタンが業務の妨げになる場合にはファスナーで開閉できるドクターコートや、コート丈が長すぎる場合にはハーフ丈やショート丈のドクターコートが最適です。
女性用としてほっそりとした美しいシルエットになるようにデザインされたドクターコートも人気を集めています。袖も長袖だけではなく七分袖や半袖タイプもあり、臨機応変に白衣の形を選ぶことも可能です。特に男性に人気なのがジャケットタイプのドクターコートです。
きっちりとしたイメージを保ちながら、ジャケット丈のため足さばきがしやすく機動性もバッチリです。ドクタージャケットやドクターブレザーという名前でも販売されているのでオススメです。